過払い金が取り戻せる可能性
よくテレビCMなどで過払い金の返還という言葉を聞いたことがあると思います。
本記事では過払い金を取り戻すことができる可能性について詳しく解説をしていきます。
◆過払い金とは
もともと銀行や貸金業などでのお金の借り入れには、上限金利というものが設定されており、現在は一律で利息制限法で定める20.0%となっていました。
しかしながら、2010年6月17日以前は出資法や貸金業法では上限金利が29.2%となっており、多くの貸金業者がこの金利に基づいて貸付を行なっていました。
2010年の法改正によって、この金利が利息制限法の定める金利に一律で調整されることとなりました。
このように利息制限法と出資法、貸金業法の上限金利の差のことをグレーゾーン金利といい、ここで払い過ぎていた利息のことを過払い金と呼びます。
ここまでの説明から分かる通り、過払い金を請求することができるのは、今から10年以上前に貸金業者と取引をした方が対象となるため、最近借り入れをした方はグレーゾーン金利が発生していません。
もっとも、法改正自体は2010年に行われましたが、2006年に最高裁判所で貸金業者の設定している金利が違法であるとの判決が出された後からは、ほとんどの消費者金融やクレジットカード会社が上限金利を変更しました。
そのため、2007年以前に借入をした方には過払い金が発生している可能性が高くなっています。
◆過払い金を請求するための条件
過払い金を請求するためには、2つの条件を満たしている必要があります。
・過払い金の消滅時効が成立していない
2010年よりも前に借入をした場合には、過払い金の返還請求をすることができる可能性があります。
しかしながら、そんなに前に借りたのであれば、消滅時効が成立しているのではないかと思われる方もいらっしゃると思います。
実際には、最後に借入や返済の手続きをした日から10年といった計算を行うため、2010年以前に借入を行なっても、つい最近まで返済をしていたという方であれば、過払い金の返還請求をすることができる可能性は高くなっています。
実際に最後に取引をしたのがいつかわからないといった方は、弁護士事務所に速やかに相談をした方が良いでしょう。
消滅時効は1日ずつその期限が迫っているため、即時に対処をすることが大切です。
弁護士に依頼をすれば、貸金業者に対して取引履歴の開示を求めることができるため、おすすめしています。
・貸金業者が倒産していないこと
最高裁の判決や、利息制限法の改正などの煽りを受けて倒産してしまった貸金業者もあります。
もっともアコムやレイクなどといった誰もが名前を知っているような貸金業者に関しては銀行系列となることによって、今でも存在しています。
また、倒産をしていなかった場合でも、経営状態が悪化していると取り戻せる過払い金の額が大幅に減額されてしまう可能性もあるため、こちらに関しても早めに相談をした方が良いでしょう。
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土方 裕介Hijikata Yusuke / 第二東京弁護士会所属
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第二東京弁護士会 常議員(平成30年度)
第二東京弁護士会 消費者問題対策委員会委員(平成25年~現在)
上智大学法学部同窓会役員(平成30年~現在)
- 著書
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『借地借家の正当事由・立退料』(新日本法規出版)
『隣地・隣家紛争 権利主張と対応のポイント』(新日本法規出版)
(いずれも共著)
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